成長する中小企業が本気で今持つべきもの

「底上げ教育」とは、これからの時代を乗り切るためのビジネススキルの底上げを意味します。その「底上げ教育」たるビジネススキルとは、「ヒューマンスキル」に加え、欠かすことのできない「ITスキル」のことを言います。
中小企業が、現在直面している一つの大きな課題は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の波に乗り遅れないことです。その解決には、全従業員のITスキルの向上が必要不可欠です。多くの経営者や教育担当者は「ITスキル」の教育と聞くと、複雑で高度な技術を思い浮かべがちです。実際はもっと身近な日常の業務・経験から始めることができます。
まず、ITリテラシーの強化が基盤となります。IPA(独立行政法人情報処理推進機構 :Information-technology Promotion Agency, Japan)の定義では「社会におけるIT分野での事象や情報等を正しく理解し、関係者とコミュニケートして、業務等を効率的・効果的に利用・推進できるための知識、技能、活用力」となっています。これは、従業員が日常業務でコンピュータ、インターネット、ソフトウェアなどの基本的なITツールをスムーズに使いこなす能力にあたります。たとえば、文書作成、データ管理などが、スムーズに行えるようになることを目指します。これにより、日々の業務の効率が大きく向上します。
次に、より専門的なITスキルの習得です。ここでは、ネットワーク、サーバー、クラウド、セキュリティなど、より幅広い技術分野に触れ、従業員が単に業務をこなすだけでなく、より戦略的な役割を担えるようになるためのステップとして、問題解決能力の向上も含まれます。
そして、これらの技術スキルに加えて、ビジネスリテラシーの習得による「ヒューマンスキル」の強化が重要です。これは、ビジネスの基本的な原理や方法論、コミュニケーションスキルなど、職場で生き残り、成長するために必要なスキル群です。従業員が自らの業務だけでなく、会社全体の目標や戦略を理解し、それに沿って行動できるようになることが目標です。
これらのスキルを「底上げ教育」として企業文化に組み込むことで、従業員は日々のITトラブル・業務課題に即応できるだけでなく、業務の効率化や品質の向上、改善提案、さらには新たなアイデア創発が可能になります。実際、このような統合的な学習プログラムを実施した企業では、従業員間の双方向コミュニケーションが活性化し、問題解決能力が向上しました。企業へのエンゲージメントや従業員満足度・モチベーションの向上ももたらし、その結果、企業全体の競争力が向上し、顧客満足度も高まるなどの効果が報告されています。
自社業務に精通した従業員へのITスキル強化とヒューマンスキル能力の定着化。こうした取り組みを進めることで、中小企業はデジタル変革の流れに適応し、持続可能な成長を達成するための基盤を固めることができます。「底上げ教育」を通じて、従業員一人ひとりが自己開発を果たし、その結果として企業全体が成長することが実現可能です。このような統合的な教育を選択することは、未来に高い付加価値を生む投資と言えます。 今こそ、中小企業は本気で全従業員のITスキル向上を推進する戦略的選択が重要です。